下落相場とは、米国市場においては一般的には直近高値から20%の下落をした場合をいいます
下落している株価チャートと、熊が爪を上から振り下ろす姿を重ねて、ベアマーケットともいいます(上昇相場は株価が上昇している様子と、雄牛がツノを振り上げる姿を重ねてブルマーケットという)
下落相場は、含み益の縮小、または損失額の拡大によって、不安がつきまとい、精神的にとてもつらいことです
私も、価格変動の大きい仮想通貨の投資を行っていますので、しばしば数10%の暴落にみまわれたこともあります
しかし、下落相場においては、次回の上昇相場に乗るための、投資機会にもなりえます
そこで、下落相場時には、どのような戦略で向き合っていくべきか、自らの経験も踏まえながら紹介します
投資戦略
1.歴史を振り返る
まず過去から学び、現状を分析します(どの程度の下落余地がありそうか、どのくらい続きそうか等)
世界の指数として最も有名な米国のS&P500の歴史を振り返ると、1960年以降、下落率が20%を超えるベアマーケットは11回ありました(2022年5月時点)
平均下落率は33.9%、平均下落期間は10.2ヶ月、回復までに要した平均期間は23.3ヶ月でした
あくまでも目安ですが、過去のデータから学び、最悪のシナリオを想定しておくことは重要なことです

2.ドルコスト平均法で買い増す
下落相場は、株を安く買える期間で、自分が保有している株の平均取得単価を下げる絶好の機会になるわけです

下落相場でも一括投資がいいのかな、それともドルコスト平均法のつみたて投資?
一括投資の場合、投資直後の暴落が起こってしまうと、含み損が膨らみ、上昇相場になった時も、利益が出るまでに時間がかかってしまうかもしれません
いつ株価が底になるのかは誰にもわかりませんので、一括投資では、下落相場時に買い向かうことは難しく、精神的にもつらい思いをしてしまうことになりかねません
そこで、下落相場で買い増しをしたい場合は、インデックスファンドにドルコスト平均法でつみたて投資を行うことが良いでしょう
なぜなら、長期投資の利点ともいえる時間分散効果によって、下落時には平均取得単価を減らし、反発上昇時には保有している株が利益をもたらしてくれることになります
リスクをマイルドにし、精神的な不安も一括投資に比べると、緩和してくれるとことが、つみたてによる時間分散投資の良いところです
将来的に株価が上昇し続けると仮定するならば、どのような相場であろうと、つみたて投資より複利の効果が強く働く、一括投資の方がリターンが高い事はわかりますが、その分下落時のリスク(下落幅)も大きくなることは知っておいた方がいいでしょう
3.資産を守る
下落相場においては、資産を増やすことよりも減らさないことを考えることも重要です
資産を減らさないためにできることは、ポートフォリオを見直すことです
例えば、株の割合が高い場合は、現金や債券などの株式と相関性の低いセクターの割合を増やすなど、資産を分散をすることで、下落幅を抑えることができます
下図のように、コロナショックの際は、株式、不動産、エネルギーセクターよりも、金や債券の下落幅小さく、短い時間で回復に至っていました

google financeより作図
ここで注意したい点ですが、現金や債券を増やすために、長期投資をやめたり、売ったりする必要はありません
ボーナスなどの一時金が入ってきた時など、投資用の余剰資金が手元にある場合は、資産を守ることも検討した方が良いでしょう
行ってはいけないこと
1.株式市場から離脱する
長期投資において最も行ってはいけないことは、つみたて設定を解約したり、全額売却することです
繰り返しますが、下落がいつ底をつくか分かりませんし、いつ上昇相場がくるか分かりません
株式市場から離脱するということは、上昇相場に乗れないことを意味しますから、最もリターンが得られやすいタイミングを逃してしまうことになります
長期つみたて投資は、目標とする金額や、時期が来るまで、ひたすら続けることが肝要です
2.下落中に焦って買い増しする
投資家たちによく知られている「下落するナイフはつかむな」格言があります
下落中のチャートを途中で買いにいくと、更なる暴落に見舞われる危険があるということです
ナイフは落ちたところを見てから拾うのが安全です
おすすめの習慣
1.長期投資用の口座残高を見ない
私は、長期インデックス投資口座の残高をほとんど見ません(妻の口座に至っては1年間で3回見たかどうか・・・)
含み益にほくそ笑むこともなければ、含み損に失望することもありません
前述しましたが、目標と金額になるか、将来お金が時期が来るまで淡々とつみたてていきます
2.入金力を上げる
下落相場の時は、買い増しの機会にもなと述べましたが、当然、入金力が高い方が多くの投資機会を得ることができます
下落相場の時は、投資のことを考えるのはほどほどにし、節約や仕事、副業に集中することで、投資の為の資金源を確保しておくのもいいでしょう
3.新たなイノベーション分野を下調べする
下落相場は、下図にある景気サイクルにおいて、後退期や不況期へと進んでいる状況です

不況期から回復期に入ると、イノベーションを生むハイテク株などが好調になりやすくなります
2010年代は米国ハイテク企業のGAFAMの時代といわれました
もしも2007年のリーマンショック時に、Appleの株に目をつけ、当時の最安値およそ3ドルで買っていたなら、2022年の最高値(2022年5月時点)は、182ドルを付けましたので、約60倍になっています
Appleもこのサイクルのとおり、リーマンショックの不況期以降、成長していったのです
このように、下落相場においては、次期成長産業を見つけるチャンスでもあります
まとめ

下落相場の長期投資において、買い増したいのか、資産を守りたいのかによって、取るべき戦略は変わってきます
自分がどれほどリスクを取れるのかを検討した上で、取るべき戦略を考えましょう
また、本記事で示したデータは過去に基づいたもので、将来の再現性を保障するものではありません
下落相場において投資を行う際、特に重要なことは、感情に左右されないことだと思います
自分が本来どのような資産形成がしたいと思って、長期投資をはじめたのか
初心に立ち返って、自分のルールに則った投資を心がけましょう
下落相場や暴落時につらい思いをされる方、これから投資をはじめる方で、不安な方の参考になれば嬉しいです
質問やご意見がありましたら、コメント欄かTwitterでメッセージをいただけますようお願いいたします
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